この間の事情/父との別れに寄せて。2017.1.9(月・祝)~1.11(水)

【2017年1月9日(月・)】

 朝、実家がある島根県松江市に住む5歳年下の妹から、約1年病床にある父の呼吸が止まったとの電話連絡を受ける。

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 用事があって外出したのだが、その間、妹とは連絡を取り合う。

 いよいよという時になって、病院のベッドに横たわる父親の耳元に妹が彼女の携帯電話をあてがい、ボクはその耳元に向かって大きな声でボクの名前を連呼し、いままでありがとうと感謝のことばを繰り返す。
 呼吸は止まっていたものの、ボクの呼びかけに父の心拍は反応していたとは、あとで妹に聞いた話である。

 そして、いよいよ呼吸が止まった。この時、15:36。(「死亡診断書」に基づく)
 苦しむことなく静かに息を引き取ったとのこと。老衰である。

 昭和6年(1931年)生まれの享年85歳だった。

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【2017年1月10日(火)】

 この日は、通夜。
 午後2時の入棺には間に合わず。

 ボクは、息子と一緒に羽田空港に向かい、出雲空港行きの飛行機に乗る。
 喪主はボクなのだ。
 息子とは、056.gif約1年前、認知症の治療で施設に入った父を見舞うために、彼の一家とともに飛行機で出雲空港に降り、松江入りしたのだった。

 さて、出雲空港には夕方着き、予約していたレンタカーに乗って、息子の運転で葬儀場に向かう。着陸時、冬の日本海の気流は普通に悪いらしく、下降する飛行機が冬雲に突入すると、機体はひどく揺れて肝を冷やしたのだった。

 葬儀場に着く。目の前は宍道湖だ。空がどんよりと低い、この土地ならではの冬の風景だ。

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 母と妹、そして母の実弟とその奥さん(つまり、母方の親戚のおじさんとおばさんだ)の4人が部屋にいた。
 そして、部屋の奥には祭壇がしつらえられ、その前に置かれた棺の中に父が眠りについていたのだった。

 ここには、前日から棺に入れられ、安置されていたとのことである。
 本来なら、残された遺族は、この日の夜から寝ずの番で遺体に寄り添い、線香を絶やさないのが〝しきたり〟らしいのだが、残念ながら前日は、諸般の事情により、それが叶わなかったようなのだ。

 不思議にも悲しみの感情はない。誰もが避けて通れない自然な道なのだ。
 棺の中の父の写真を何枚か撮る。全身や顔。顔は、いわゆるデスマスクである。やっぱり、人間の顔は、生きていないと絵にならないな。
 絵になるのは、むしろ髑髏の方なのさ。

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 この日の夜、母、妹夫婦一家と息子とボクで晩ご飯を食べ、ボクと息子は、レンタカーで葬儀場に戻る。

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 ところで、ちょうど40年前の1977年1月、ボクは、ここ松江市で大学受験に臨む不安な受験生の一人なのだった。そして、その年の早春、大学に合格して上京。
 以来、ボクは、TOKIOを住まいとして結婚し、一子をもうけ、その子が結婚して2児の父となり、したがってボクは2人のお孫ちゃんのおじいちゃんになってしまったのだった。

 そして、この日の夜、父の棺の横に貸しぶとんを2つ並べて敷き、そこに、ボクと息子が体を横たえ、親子三代で(3人とも長男で、しかも血液型はB型なのだ)一夜を明かすことにしたのである。
 さっきも述べたが、本来は寝ずの番で線香を絶やさないのがしきたりで、だからこそ、これを通夜というのだな。
 世間では、「いい年をして」いるこのわが身なんだが、当事者になってはじめてわかることがあるのである。

 さすがに寝ずの番は無理だった。時々目覚めては線香に火を点ける。線香って、あっという間になくなってしまうんだ。

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【2017年1月11日(水)】

 告別式の朝。

 父は棺の中で永遠の眠りについている。その子であるボクと、ボクの子である息子は、生きているので、それぞれが、葬儀場に敷いた貸しぶとんの中で目を覚ます。
 やがて、喪主であるボクの奥さんも、TOKIOから飛行機で駆けつけ、昼頃からは、父の弟や妹やいとこらの親族が集まり始める。
 何しろ、056.gif時々帰省はしていたものの、40年間、故郷を離れた喪主のボクは、ここではほとんど異邦人なのだ。

 さて、この日手続きは以下のとおりである。
 で、だいたいこのとおりの進行だったのだ。

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 【葬儀場】
  12:30~ 親族集合
  13:00~ お坊さんによる読経
  13:30~ 出棺
  参列者は、棺の中に花を入れて死者に別れを告げる。そして、棺を乗せた霊柩車は斎場(焼き場)に向かう。

 【斎場(焼き場)】
  14:00~ 火葬開始/約1時間半
  15:30~ 収骨
  16:30 終了

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 棺を載せた霊柩車(日産のワゴン車=セレナなり!!)が葬儀場を出て斎場に向かう。そして、遺族や親族が車で後を追う。

 斎場(焼き場)に着き、霊柩車から棺を下ろして火葬の準備に入るのだ。
 荼毘に付される直前、棺に向かって遺族や親族が言葉をかける。
 と、その時、葬儀場の100円ショップで買った300円の数珠をつないだ紐が、突然ボクの左手の中で切れ、数珠の玉が弾けて飛び散りそうになり、ボクはあわててその玉を両手の平で包み込んだのだ。

 火入れされる直前、父はボクに何かをいいたかったのか?

 そして、棺は072.gif火葬炉に中に収められ、その時、喪主であるボクは、扉のスイッチを押して扉を閉め、次に火入れのスイッチを押して火葬が始まる。
 遺体が燃えて骨だけになるまで、約1時間半弱。この間、遺族や親族は、別室でお茶を飲みながらお菓子などを食べながら待機。お弁当を食べている別の葬儀の遺族もあったのだ。「精進落とし」というわけである。

 さて、火葬炉から出て来た遺体は、見事に骨だけになっていた。係りの人の手によって、喉仏だけは先に取り出され、骨壷の蓋を裏返しにしたその上に乗せられていたのだった。 
 そして、ここから、遺族を中心に親族たちは、まずは遺骨の周りを取り囲んで箸で骨をつまみ、箸から箸へと拾った骨をリレーで渡しながら骨壷へと収めるのである。いわゆる、072.gif「収骨」である。
 
 ちなみに、日常生活の中で、箸から箸へ食べ物を受け渡すことが厳禁とされているのは、この慣わしに基づく禁忌(タブー)として由来していることにあらためて気づかされるのである。

 さて、何回かこのリレーを繰り返したあと、参列者は、喪主のボクを中心に、それぞれが箸で拾った骨を骨壷に収めるのであった。順番は、足元から次第に頭の方に向かってだ。
 そこまで拾うかと思うほど、ほぼすべての骨が拾われ、骨壷の中に収められるのだった。
 最後は、あごの骨が収められ、続いて頭蓋骨が収められて、この日のセレモニーは終了である。

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 というわけで、葬儀は、地元にいる妹夫婦や、母方の親戚のおじさんとおばさんたちの協力で無事に終えることが出来たのである。

 それにしても、父が息を引き取ったのが休日だったことは幸いだった。
 まだまだ働かなくてはならない現役の労働者であるボクにとって、平日の仕事中に訃報を受け取ったのでは、落ち着いて次の行動には移れないのである。
 それに、火葬場は「友引」の日には火葬をしないとのことなので、今回、カレンダー上で最短のスケジュールで進行することが出来たことも幸いだった。
 しかし、それよりも何よりも、親の介護に苦しむことなく父の臨終を迎えることが出来たことが一番助かったことなのだ。

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 最後に、何ごとも準備がすべてなのだが、特に初めて当事者となって迎える葬儀は、誰にとっても未体験で未知のゾーンであり、避けては通れない道である。
 にもかかわらず、出来れば先送りにして見て見ぬフリをしがちな現実が、親の死に目と葬儀なのである。
 誰もがいやなものからは眼をそむけたいのだ。

 しかしながら、転ばぬ先の杖で、こんな葬儀のやり方もあることを知って少し予習をしておかれたらよいのではないかと思い、以下のスレッドをご紹介してこの稿を終えようと思うのである。
  072.gifいろいろな供養方法の比較(メリット・注意点)

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南無阿弥陀仏。

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by misaochan3x7 | 2017-01-14 13:20 | 自分遺産 | Comments(0)


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