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文春ムック 「丸ごと1冊タンマ君」 を買って思うこと。

【2018年1月3日(木)】

 177.png讀賣新聞 2019年1月1日(火)

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 元旦の讀賣新聞の広告を見て、125.png早速購入
 セブンイレブン限定発売とは奇策なり。
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 この漫画は、非モテの独身男(むかしは、チョンガーといったのだ)が抱く徹底的にモテないことに対する煩悶やモテ男への狂おしいほどの嫉妬、そしてまた、賃金労働者としての哀切を絶妙に謳(うた)い上げるサラリーマン哀歌(いや、賛歌か)であり、作者である東海林さだお氏の独壇場である。
 昨年(2018年)、連載開始(1968年)から50年を迎えた傑作選とのこと。
 そこには、四畳半、インスタントラーメン、汚れものの猿股(ブリーフではないぞ)、酒とタバコ、居酒屋、キャバレー、連れ込み旅館、麻雀、サラリーマンローンなど、涙ちょちょキレんばかりのサラリーマンの哀しみを彩る数々のアイテムが登場する。
 携帯電話、パソコン、インターネットなどない時代だ。
 
 それにしても、氏のサラリーマン漫画は、過去にさかのぼればさかのぼるほど面白いのだ。
 舞台となるのは、昭和40年代をメインとする、いわゆる高度経済成長期だ。
 サラリーマンの給料はどんどん上がり、家庭は家電製品であふれ始め、戦後の日本が青春期だった時代でもある。
 氏が描くサラリーマンの世界は、非モテ男の代表であるタンマ君の口から発せられる「ぐやじ~」 に象徴される彼の地団駄踏むくやしがり方が、そのまま読者であるサラリーマン諸氏の思いと通底していた古きよき時代の共感に支えられた世界。
 単純な描線だが、生活臭のする妙に生々しくてエロい絵柄でもあるのだ。

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 若いころ、ボクは永遠のマンネリをかこつこのジャンルの漫画を “古いもの” として徹底的に憎んでいたものだが、60歳を過ぎたいまではなんだか角が取れ、昔ながらのサラリーマン漫画をなつかしく許すようになっている。
 まったくもって、時の流れとはおそろしい。

 そして、50年が経ち、作者は80歳のおじいさんになってしまったのである。

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 しわしわになった顔とヅラかと思わせる頭髪にひどく違和感を感じるのだが、同誌に掲載された漫画レポートによれば、ヅラではなく自毛とのことである。
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 巻末の108.pngタブラ奏者ユザーン氏とのコラボ記事は意外なり。108.pngこういったいきさつだったようである
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 それにしても、今年81歳を迎えてまだ現役の連載作家として描き続けなければならないことは、苦にはならないのだろうか。
 誰かに引き継ぐにしても、サラリーマン漫画ってなかなか人選がむずかしいジャンルではあるんだよな。

 たのむでしかし。


by misaochan3x7 | 2019-01-05 19:53 | まんが道(みち)


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